ジャニー喜多川は怪物ではない

 先日、知人の男性が言った。

「ちゃんとジャニーズの性加害について知らないといけない」

「どうしてですか?」

「再発防止のためだよ。権力を持っていたり特権階級の人間がどうやって性加害をしたのかちゃんと知らないと」

 彼には幼い子どもたちがいる。

「ペドって知ってますか?」

「なんのこと?」

「私は幼稚園の頃に、そこの神社で大人の男の人にパンツをおろされました。夏祭りの運営の大人の男の人です。みんなその人を知っていましたが、私のパンツをその人がおろしていやらしいことを言ったりしたりしたことは誰も知りません。私が小学校五年生の時に、発育の早かった同級生が下校中に大人の男の人に道を尋ねられ答えたら襲われてました。集団下校だけが始まりました。私が中学生の時に、担任でもない男性教師から性加害を受けました。その男性教師の後輩の教師は知っていて私を見ながらにやにやしていました。その性加害を盾に男性教師たちは私に何をしてもいいと思ったようなので私は学校にいけなくなりました。それらのことが私の人生に影響を及ぼしたとやっと気づいたのは、男性が私を標的にすることが少なくなった四十代の後半です。そこでやっと、恐怖を感じないように強くしめていた蓋が開いて、パニックになりました。そこから私はずっとカウンセリングを受け続けています。私が今生きているのはたまたまです。そして子どもに近づく大人はそのようにそこら中にいて、たいていの人はその加害者に気づきません。権力も特権階級も必要はないんです。親切そうな顔をして子どもにかまう大人と子どもが二人きりになるような、小児性愛の加害が行われる場をすべて排除することが、あなたが子どもたちを守れる唯一の方法です」

 

話したくもない被害の話に群がっても性加害はなくならない。

性加害をする者は怪物ではない。

当たり前のような顔をして社会に溶け込んでいる。

夏祭りの設営をしたり、道を尋ねたり、教師をしたりしながら。

彼らは怪物ではない。

あなたと同じ人間だ。

 

そして性被害を受けた者に何故いつまでも詳細を尋ねる。

理不尽に酷い目に遭った人だ。

それで終わりにしてほしい。